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「熊本地震 応急危険度判定について」

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熊本地震

平成28年5月1日

熊本地震 応急危険度判定について



 熊本を中心とした地震によって被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。





『応急危険度判定について』

  • 熊本を中心とした地震の被害での応急危険度判定において、「危険」と判断された建築物が1万2千件を超えたそうです。
    (現時点において。 今後さらに増えるだろうと予測されます。)
  • この判定のことをまったく知らない方のために、応急危険度判定マニュアルに基づき、この応急危険度判定について少し述べさせていただきます。




  • 応急危険度判定とは、地震により被災した建築物において、その後の余震等による危険性を速やかに判定し、被災建築物の恒久的復旧に至るまでの間の使用にあたっての情報提供をすることにより、二次的災害を防止することを目的としています。
  • この判定は大きく分けると、被害(破壊)の小さい順からA・B・Cの三段階に分けられ、それぞれ、「調査済 INSPECTED」(緑色)、「要注意 LIMITED ENTRY」(黄色)、「危険 UNSAFE」(赤色)、と表示するステッカーを、建物の所有者・使用者のみならず、第三者にも知らしめるため出入口等の認識しやすい場所に貼り付けて行きます。
    判定ステッカー




  • 一見すると、さほど被害がなさそうに見える建物でも、「危険 UNSAFE」のステッカーが貼られている建物があります。
    その建物の所有者・使用者の方々は、「立ち入ることができないのか?」「できることなら住みたい」等の「不満や不安、要望」等を訴えている方々もおられます。
  • そのような建物の場合でも、一見すると大丈夫そうに見えても、たとえば基礎等その他が専門家から見ると危険とみなされる損壊を被っている場合等もあります。
  • 被災された方々の上記のようなお気持ちは痛いほど分かります。
    技術的な見地からの勧告としての表示ですが、二次的被害を抑えるための苦渋の措置であります。
    どうか、ご理解とご協力をお願いいたします。
  • また、この応急危険度判定は、建築技術の専門的見地による「応急的な調査、及び情報提供等」の対応です。
    したがって、被災による損害額の査定、被災建築物の「恒久的使用の可否」の判定、その他の目的で行われるものではありません。
  • 被災建築物の恒久的使用の可否や復旧に向けての構造的補強の要否の判断のためには、さらに「被災度区分判定基準(※ 最下記に参考表記)」が適応されます。

『倒壊した家屋について』

  • 倒壊した家屋のほとんどが現在の耐震基準には満たない、旧基準で建てられた「古い建物」です。
  • 古い基準の建物等は、今ほど色んな審査等に厳しくなかった頃に建てられたものですから、旧基準どころか明らかにそれ以上に弱い造りの建物も数多いと思われます。
  • 金物等は現在の標準的な基準と比べたら、まったくと言っていいほど施されていません。
    耐力壁、及び筋交い等の壁量も圧倒的に少ない場合も多い、且つ、正しく施工されていないものも多い。
    また、古い建物ですから経年による腐食や、あるいはシロアリ等からくる腐食等も著しい。
    建物によっては、構造材そのものが細いものを使っている事例も多い。例えば、通し柱に3寸5分ていどの柱を使っている、など々。
    (現在の標準は4寸。詳しく話すと長くなるので割愛しますが、4寸でも細すぎるのです。)
  • このような大きな地震・災害が起きる前に耐震補強等をもっともっと普及させておくべきだったのです。
    耐震補強の実施件数、あるいはその普及度合い等は、政府やマスコミ等の発表などはおいといて、実際に肌で感じた実施の度合いはまったく芳しくありませんでした。
  • 耐震補強に対する補助等は、一般の方々・一般家屋において、とても速やかに行えるような体制ではありませんでした。
    その補助は金額的にも普及に至ることができるようなものではありませんでしたし、補助金の交付の条件自体もハードルが低いとはいえませんでした。
  • きちんとした交付基準を設けるということも、誰にでも安易に許可等を与えればいい加減な施工、あるいは正しい施工が行われないこともある事を考慮すると、そのことに対して私も一定の理解はありますが、もう少し現実に則った在り方でなければ普及はしないです。
  • 少なくともしかるべき資格者1名の承諾書類・補強の検討書類等があれば認めるくらいの裁量は必要なのではないかと個人的には思います。
  • それ以上の厳しい基準に基づくようなものが普及するはずがありません。
  • マスコミ等の報道はともかく、通常の政府行政側の告知も、行政のサイトに申し訳なく掲載している程度で、さらに手続きその他が複雑且つ難儀なものなどは一般人は敬遠しますし、そのような告知状況では、一般の方々の物事の選択肢の思考になかなか浸透しない。
  • いつも通りのお役所仕事では、民間企業が何かのヒットを生み出すような芸当が出来る可能性は皆無です。
    ましてや金額そのものも一般消費者の負担がかなり軽減されるようなものではないのならば尚更…

  • 世の中の物事によくあることでもありますが、一部の事例の弊害を取り上げてそれを重視しすぎ、本来の目的のものが進まないことがあります。
  • あえて極端な言い方をすれば、車で当たり屋や、あるいは、むち打ちなどでの嘘の怪我を偽る輩などがいるからといって、保険金の支払いに過剰な条件制限を加えてほとんど支払われないようにするようなものです。
  • 100パーセントをめざしても事は進まない。
    臨機応変の対応と思考と機転が成果を生み出す原動力となり得るのです。


  • また、一時期は公共工事が大幅に削減され、以前の半分以下の予算となってしまった時期があります。
    これでは、耐震補強に関する予算も出るはずがありません。
    熊本の行政施設も使用不可能な大きな被害を受けていたのはこのような弊害もあったからに他ならない。
  • 政府や一部の政治家の方針等のみならず、公共工事そのものを悪いイメージでしか捉えない浅はかな思考の一部の世論・マスコミ等にも意を訴えたい。


  • 今後はこの教訓を生かし、一般住宅・一般家屋を含め速やかな耐震補強が進んでくれることを望みます。




 ※下記は、日本建築防災協会が「被災度区分判定基準」等に関して示すものです。
(日本建築防災協会サイトから引用)

参考にしてください。

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○震災復旧の手順
 第1段階(発災直後の時期):応急危険度判定(余震等に対する安全性の調査)
 第2段階(やや混乱の落ち着いた時期):被災度区分判定(被災度の調査および復旧の要否の判定)
 第3段階(安定時期):復旧計画および復旧工事
   ※被災度区分判定及び復旧計画等の作成には一定の費用がかかります。

○被災度区分判定とは
 地震により被災した建築物を対象に、建築構造技術者がその建築物の内部に立ち入り、当該建築物の沈下、傾斜および構造躯体などの損傷状況を調査することにより、その被災の程度を軽微、小破、中破、大破などと区分するとともに、地震動の強さなどを考慮し、復旧の要否とその程度を判定して「震災復旧」につなげることをいう。

○被災度区分判定の主な対象
 応急危険度判定により主として構造躯体の被害が原因で「危険」あるいは「要注意」と判定された建築物、あるいはその他の技術的判断などによりそれらと同程度以上の被害が生じていると判断される建築物が考えられるが、これら以外すなはち「調査済」と判定された建築物についても何らかの被害があるのであれば、所有者が引き続き使用するに際し、原則として「被災度区分判定」を実施する必要がある。これは「応急危険度判定」が外観調査を主体とした地震直後における短時間の調査結果に基づいており、後に充分な時間をかけて被害調査が行われた場合には判定結果が異なることが考えられるためである。

○被災度区分判定の重要性
 被災した建築物を被災度区分判定し、適切に復旧し継続使用することは、住民が旧来の住宅に住み続けることができる利点のみならず地域コミュニティーの確保につながり、また行政による仮設住宅の建設や廃材処理等の負担軽減にもつながります。

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  一日も早い、復旧・復興をお祈り申し上げます。

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